電気式の温度計センサーにも複数の種類がありますが、その中でも分かりやすいものは、金属の電気抵抗が温度によって変化することを利用するものでしょう。
一般に金属は電気抵抗値が低いのですが、この抵抗の値は常に一定ではなく、その金属の温度によって変化することが知られています。温度が低いほど電気抵抗が小さくて電気を通しやすく、温度が上がれば上がるほど電気抵抗が高くなって電気を通しにくくなります。そこで、予め温度とそのときの電気抵抗を調べてグラフのような形でデータを得ておけば、電気抵抗を測定することで即ち温度を計測したことになり、温度計センサーとして用いることができることになります。
原理的にはこれで動作するわけですが、実際に用いるとなると考えなければならないことがあります。まずは温度と電気抵抗との関係です。この2つが直線的に変化するものが実用性の上では好ましく、両者が関係するとはいっても簡単な方程式では表せないような複雑な関係ですと、実用性には乏しくなります。
また、これも当然のことですが、少しの温度変化であっても大きく電気抵抗が変化する金属のほうが望ましいでしょう。わずかな温度差であっても鋭敏に捉えることができるからです。また、うっかりしがちな点ですが、金属を用いる以上、その融点以上の温度では測定することが不可能です。あくまで固体状の金属である温度範囲でしか使えません。これらを鑑み、温度計のセンサーとしては白金やその合金がよく用いられています。